
静岡県内に住む主婦、A子さん(31)は昨年のある日の朝、いつものように自宅前に止めた愛車に乗り込もうとして、ちょっとした違和感を覚えた。「あれ、なんだろ?」。軽自動車フロントガラスの、ワイパーにしおりのようなものが挟まっている。買い物に行った先で勝手にはさまれるチラシにしては小さすぎる。
運転するのに邪魔なので、取り除こうとして驚いた。ワイパーにはさまれていたのは、袋入りのコンドームだったのだ。なんで避妊具がこんなところに? 最初は夫の悪い冗談なのかとも思ったが、夫はそんなの知らないという。一体だれの仕業なのか、超気分が悪いし気味悪い。しかしその日はそのままやり過ごしていた。
ところが、ワイパーのコンドーム事件はその後も続いた。日によって、1個だけだったり複数の袋入りコンドームが、同じようにワイパーにはさまれている。だれの嫌がらせなのか、A子さんには全く心当たりがない。さすがに怖くなったA子さんは、夫にもうながされて地元の警察署に相談した。
「この人を知っていますか?」。しばらくたってから担当の警察官がA子さんに見せた写真。父親世代と言ってもいい位の年格好。見覚えはない。どうやら捜査線上に浮上した重要参考人のようなのだ。後で聞いたところによると、県庁に勤める農林部門の課長(57)ということだった。でもなんでそんな人が私の車に避妊具を? A子さんはキツネにつままれたような気分だった。
課長は今年7月下旬になって逮捕された。容疑はストーカー規制法違反。なんと、1年前に偶然近所でA子さんを見かけて好意を抱き、尾行して自宅を突き止め、こうした行為を続けていた。ウラが取れただけでも今年2月からの半年間に、9回にわたりコンドーム計19個をせっせとA子さんの軽自動車フロントガラスにはさんでいたのだ。
「容疑者には妻子がいるんだけどね。ゆがんだ愛情表現だよ」と捜査関係者はため息を漏らす。県の課長といえばエリート。定年退職まであと3年を残して人生を棒に振った。それにしても、なぜコンドームを? 「これを使ってボクとやりましょう」というメッセージ? 「ダンナとやる際には必ずつけて」とのよけいなお世話? 老いらくの恋は理解不能だ。















