デリヘル(デリバリーヘルス)嬢は客の自宅のチャイムを押す瞬間、超緊張するという。デリヘルは他の店舗型風俗店と違って、客の男に最初に接するのは店のスタッフでなくデリヘル嬢自身。つまり、特に初めてのお客の場合、どういう人物なのか店側は事前に把握していない。部屋ではとんでもない不潔男とか犯罪者、変態さんが待ち構えているかもしれないのだ。
送迎スタッフは客の家の前の道路までしかついて着てくれない。「じゃ、行ってきます」と車を降りるとデリヘル嬢は、まだ見ぬ客が待つ玄関に、まるで戦争にでも行くかのような覚悟で向かう。「ピンポ~ン」で出てきた客が一見まともそうでも、決して安心してはいけない。最近では、部屋のどこかにビデオカメラを隠して盗撮しようという輩もいるのだ。
だから、埼玉県和光市に住む27歳の印刷工男性宅を訪れたデリヘル嬢にとって、「この服、着てくんないかな」と言われ高校の制服みたいなブレザーを手渡されたのは、別にたいしたことではなかった。どうせ自分の服は脱ぐんだし。それに、客が用意したセーラー服とかでコスプレさせられることはよくある。着たことない衣装を着てみるのも、違った自分になれた気がして悪くない。
そういう趣味の持ち主のために、量販店や通信販売でコスプレ用のセーラー服だのナース服だのを形どったペラペラの衣装が1着5000円程度で売られているのを、彼女もよく知っていた。ド○キとかで見たことある。ただ、今回のこの男が用意していたのは、そういう店で売っているようなコスプレ用の服ではない。どうも作りがていねいだし、長年着込んだ跡さえがある。
それもそのはず。この男、4年前から県内の高校の部室などに忍び込み、制服やスクール水着などを盗んでいたというのだ。夜な夜な呼びつけるデリヘル嬢には、こうして盗み出したレパートリーの中からイメージに合ったものを選び出し、着させていたのだった。「キモッ!」とは思っていても言えないのがデリヘル嬢。なにしろ、暴力を振るわれるでもなく、金の支払いを渋るわけでもないし、「上客」だ。
しかし、男の運もついに尽きた。昨年11月上旬に同県新座市内の県立高校バスケット部の部室に侵入し制服など5点を盗んだとして、2月1日、窃盗の建物侵入の疑いで県警新座署に逮捕されてしまった。部屋からはそれまでに盗んで隠し持っていた制服など200点が見つかった。調べに対し男は、「実際に高校生が着た制服だと臨場感が出る。量販店で買ったものは生地が悪く、重厚感がない」と、マニアックな供述をしているという。
















